行政法を学ぶ人は、試験を受ける人ということになると思います。ただ、一般市民も行政法の要諦を学べば、行政上の各種の手続きにどのような力が働いていいるのか、理解が早くなることと思います。

世の中には、もっと学ぶべきことは多いと思います。行政法を学ぶより、もっと根源的な法哲学などを学ぶべきだと筆者も思います。行政法を学ぶことは、現在の行政と市民との関係、世間を知るという意味で、市民としての権利を守る手助けになることと思います。

 

COVD19関係を始め、どのような手続きと補償があってどのようにそれはすすめられていくべきなのか、本来的な意味を掴むことができると思います。

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行政は誰が行うのか

行政を行う主体のことを行政主体いいます。

👉行政主体は、国・公共団体(地方公共団体・特殊法人・独立行政法人)です。

 

行政は、道路、公園、上下水などの整備を行なっていると考えとイメージしやすいと思います

 

行政と市民の関係

行政主体には、市民より厳しいルールが適用されることになります。

道路拡張に伴う土地収容のルールなど、公的な権力を実行するためのルールは法律の根拠を求められる(法律の留保)ことになります。

 

行政指導では、求められた場合、行政からの文書での説明(行手法35条1項)を必要とします。

 

〈問題〉行政活動の全ては、行政主体が直接行っているものである。❌          

  

👉理由:建築確認は民間の指定確認検査機関ができるなど、全てとは言い切れません。

指定機関の活動は行政といえるのですが、民間の組織を行政主体とはみないということです。

 

(参考)

指定検査機関による確認事務は、地方公共団体の事務であり、その事務の帰属する行政主体は地方公共団体である。

最高裁平成17年6月24日第二小法廷決定(平成16年(行フ)第7号:訴えの変更許可決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件)(判時1904号69頁、判夕1187号150頁)

 

 

行政機関

 

行政主体のために、実際に行政活動を行う人を行政機関といいます。

行政機関の行為が行政主体の行為となるためには、行政機関の「権限」の範囲内ということが必要となります。

 

行政機関の種類

  1. 行政庁👉独立行政委員会を含む 各大臣、都道府県知事、市町村長

  2. 補助機関👉行政機関の職員

  3. 執行機関👉警察官、徴税職員  

  4. 諮問機関、参与機関  

  5. 監査機関

 

〈問題〉監査機関は行政機関ではない。❌

 

 

行政行為

行政主体は市民に一定の作為または不作為を強いる権限を持っています。

そのため、市民としては、行政をコントロールする力を担保しておかなければなりません。

 

行政をコントロールする方法としては、「法治主義の原則」「適正手続」「情報公開制度」「個人情報の保護」があります。

 

法治主義の原則

  1. 原則:行政活動は法律に違反してはいけない。👉法律優位

  2. 原則:行政活動は法律に基づかなければならない。👉法律留保

 

(問)行政指導は法律の根拠がなくても行うことができる。 ⭕️

 

この場合でも、常に法律優位の原則があるので、組織規範・規制規範に反して行うことはできません。

教科書検定で改善意見(行政指導)(注1)は法的根拠がない非権力的なものとされています。

ただし、行政指導については、行政手続法33条(注2)の問題となる場合があることを理解する必要があります。(適正手続の問題)

 

(注1)

最高裁平成9年8月29日第三小法廷判決(平成6年(オ)第1119号:損害賠償請求事件)Jurist No.235 Nomember 2017 行政判例百選I P196)

(注2)

行政手続法(申請に関連する行政指導)

第33条申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。

 

学説

👉侵害留保説 国民の権利を奪ったり、国民に義務を課す侵害行政活動には根拠が必要。行政サービスにも根拠が必要(社会給付行政に根拠を求める説(社会留保説))  

👉全部留保説 全ての行政活動に根拠を求める。

👉権力留保説 権力的行政活動には法律の根拠を求める。

👉本質留保説 本質的決定は議会に留保される。

 

 

 

行政のコントロール

行政活動をコントロール手段としての適正手続き

👉不利益処分における理由提示と処分基準

(札幌地判20・2・29、民集65巻4号2119頁)

一級建築士の免許取消に関し、北海道知事は所属する設計事務所の登録取消処分を行ったところ、不利益処分における処分基準の内容及び適用基準が明らかになっていないことを理由に各処分の取り消しを求めたものである。行政手続法14条1項本文は行政庁が不利益処分をする場合は理由を開示しなければならないとしているが、当該処分の根拠法条及びその法条に該当することが明らかになっていることで十分だとして、さらに進んで、説明する必要はないと判断された事案。

 

行政の情報:行政主体の活動の説明を行うための「情報公開制度」

​👉知事交際費と情報公開 最高裁平成6年1月27日ー小法廷判決(平成3年(行ツ)第18号:行政処分取消請求事件)

(民集48巻1号53頁、半時1487号32頁、判タ841号65頁)

​知事交際費用について、大阪府の公文書等公開条例に基づきその実施機関であるY(知事)に交際費について関係公文書の公開を請求した。知事交際費の特性が相手との友好関係にあって、私人である相手方が識別されうる情報は、その事務の目的を阻害することになるとの関係から公開してはならない文章に該当するとしている。その後は、首長の交際費については、行政の透明性の向上の観点からさ裁量基準を定めた上で公表しているところも多くなってきていることから先行事例としての意味は少ない。情報公開訴訟、情報会条例の解釈運用論点を提示した判決としての意義。

個人の情報:主権者である市民自身の情報のコントロール「個人情報保護制度」

👉国民健康保険診療報酬明細書(レセプト)の訂正請求の拒否

(最2小判平18・3・10民集219号677頁、判時1932号71頁)

京都市長に、個人情報保護条例に基づき、Xが歯科診療の国民保険診療明細書の請求を行ったところ、開示処分を受けたレセプトの事実内容に誤りがあるとして請求をおこなっが、訂正を拒否する処分を行い、1審及び原審がXの請求を容認したため、市長が上告したもの。第三者作成文書の訂正権限に関する明文の規定がないことから高裁は市長の処分を適法としている。

行政行為形式

行政が何をするのかという「行政の行為形式」に行政処分、行政立法、行政計画、行政指導、行政契約があります。

 

行政処分は法律や条例に基づいて、市民に対して、権利・義務を一方的に決定する行為ということになります。

 

(問)食品衛生法の許可がないにもかかわらず、職肉の販売を目的に卸業者から食肉の購入を行った業者が許可がないことを理由に契約の無効を主張できるとういのが判例である。   ❌

 

行政上の目的に基づく法規と私人間の関係に対する規制の問題です。判旨は食品衛生法が取締役法規にすぎず私人間の契約には影響がないとしています。

 

行政処分には、法律行為的行政行為と準法律的行政行為があります。

法律行為的行政行為は、①下命、禁止、許可、免除などの命令的行為と②特許及び剥奪、認可、代理などの、形成的行為

 

例えば、営業権などの許可は、行政庁が、国民に営業を許可する法律的効果を発生させる命令的行為です。

 

準法律的行為は、確認、公証、通知、受理になります。

 

本来、国民が権利として持っているものを、登録するなどの行為、マイナンバーカードの登録は、登録によって使用する権利を行使できるというものなので、効果のずれがあることになります。

(問)特許とは、特定の権利等を設定する行為で、外国人の許可の帰化の許可は特許である。⭕️ 形成的行為

(問)運転免許の付与は特許である。❌ 命令的行為

(問)銀行の合併は、第三者の行為を補充してその法律上の効果を完成させる認可である。⭕️ 形成的行為

このあたりは、自分で問いを作って考えなければ、丸暗記は難しいところです。

ポイントは、命令的行為・・国民が本来自由であることに、義務を命じる、または除去すること

形成的行為・・・国民が有していない特別の権利や法的地位の付与、剥奪の行為

              

行政行為の効力

 

  1. 公定力・・・取り消されるまでは有効な行為👉違法な行為であったとしても

  2. 不可争力・・行為後一定期間が過ぎると、有効性を不服申立てや取消訴訟によって争うことができなくなる効力👉行政側からは取消可能

  3. 執行力・・・行政行為の内容を行政庁が自力で強制的に実現できる効力

  4. 不可変更力・行政庁自身が取消し・変更できなくなる効力