人工透析の問題は、生命についての倫理問題でもある

医療資源の限界ーCOVID19

医療資源には限界があります。医療崩壊は、COVID19影響下の医療現場の状況から誰でも、意識の上にある問題となりました。

今回のワクチン摂取の優先的に受けうる対象は、高齢者から配分になるということが予測されますが、高齢者の重傷率から疫学的判断がおこないやすいという側面があります。

ワクチンのような物的資源だけでなく、人的資源、救急医療、災害医療などの時間的希少性の制約の問題が常に存在しています。

矯正的正義と分配的正義

矯正的正義と分配的正義の天秤は、意識するかしないかにかかわらずよく話題にされてきています。この問題は、地球滅亡の時に、宇宙船にのる人は誰を選ぶべきか?という問題とよく似ています。100人乗りの宇宙船と25億人乗りの宇宙船を仮定して考えると分かった気になります。100人乗りだったら、悪人は乗れない、功績のあった人か将来性のある人を乗せることになるでしょう。

過去に行った不正と刑罰や賠償との釣り合いの矯正的な正義、各人の負担や功績と医療の釣り合いとしての分配的正義は、特に医療資源の問題となっています。

正義論の理想

正義論(ロールズ1971年)の立場に立って考えれば、社会経済的な不平等は、恵まれない人の最大の利益につながる場合に限って許されることになるー社会保障制度の一環として保障され、医療は各人の選択に任せて行うことができることになります。

課題  人工透析の問題ー国民医療費の問題

正義論は理想的な話ですが、一方、自由を享受する権利を平等に持つ社会という前提に高率の税金や保険料が必要となってくることは避けられません。

特に、少子高齢化の状況下で、費用対効果と社会価値判断を検討しなければならないことは、政治政策の課題として明らかです。慢性的人工透析の増加は、国民医療費の増大をもたらしているが、生命に関わる治療を提供しないことは、社会的問題となるという政策決定上の難問でもあります。