功利主義は、個人の効用をたし算して最大にすることが行為や制度の望ましさを表すという主義です。一見正しい感じがしますが、効用の可測性から考えると、個人の効用は様々でたし算できないでしょ?ということが問題となります。為政者が、この方法が客観的に最大幸福の道であるとしめしたとしても、為政者個人のバイアスで歪められたものであることは想像できます。選挙人という利益団体のことも為政者には大きな要素となります。
環境問題は、経済効用の最大化=最大の効用であると考える場合には糸口が少なくなってしまいます。もちろん、環境に優しい企業を保護するーそこに投資するということはありますが、むしろ企業がただ同然の環境から収奪することで利益を上げてきたことは歴史の証明するところです。
環境の問題は、マクロにもミクロにも拡大するものでもあるー途上国の経済問題にも直面しなければならないー難問だらけでもあります。
どれだけ効率的でうまく編成されている法律や制度であっても、多様な生物と人間の生存に関わるものー悪い影響を及ぼすものならば、改革することが正しいのだと思います。
政治的な交渉と社会的な利害計算に左右されないということが、功利主義の誤謬を乗り越える鍵であると考えます。
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