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ジュリエット・クールベの肖像

ギュスターヴ・クールベには三人の姉妹がいます。3番目のジュリエットが最も愛されたと言われています。45歳のジュリエットの肖像にはさびしい影があります。


1870年のパリ・コミューンに際して「芸術家連合」の会長となったクールベはヴァンドーム広場の円柱の引き倒し事件の責任で投獄、多額の賠償金を背負わされスイスへの亡命を余儀なくされます。クールベは55才、彼女の絵を描きました。その3年後に故郷に帰ることなく亡くなっています。


クールベ亡き後は、ジュリエットの働きで作品の散逸を防ぐことになります。ルーブルの「オルナンの埋葬」はジュリエットが寄贈したものです。


「オルナンの埋葬」はなもなき人の埋葬すら描いた、クールベの深い心が読み取れます。そのことが、すべての不幸をもたらしたとしても、歴史がその真実を証明していることになります。


ジュリエットの才能や思いは1870年という年代では発揮することなく終わってはいますが、その重さと引き換えに「オルナンの埋葬」を遺したことを感謝してやみません。





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